こんにちは、にょろりんこの備忘録的技術ブログです。
みなさんは Boodigo(ブーディゴ) って知っていますか?
BoodigoはBoodigo, LLC社により2014年9月15日に公開されたアダルト専門の検索エンジンです。当時は「アダルト版Google」とも呼ばれ、ニッチながらも業界内では期待を集めました。しかし、残念ながら今はサービスを終了しており、その名前を知る人も少なくなりました。

では、なぜ Boodigo は失敗(サービス終了)してしまったのか?そして、Sae-Pornsは同じ轍を踏まないために、今のアダルト検索エンジンには何が必要なのか?
なにせ、情報が少ないのですが、今回はこのテーマを、仮説を立てつつ、にょろりんこの視点で分解・解説してみます。
仮説1:市場が狭すぎた
Boodigoが失敗した理由のひとつは、市場がニッチすぎたことではないでしょうか。
アダルト検索エンジンというと聞こえは良いですが、実際にはユーザーの多くはPornhubやXvideosなど大手ポータルサイト内の検索だけで事足りる、もしくはGoogle検索で女優名や作品コードを入れるだけで十分、という現実があります。
つまり、「アダルトコンテンツ全体を網羅検索したい」というニーズが思ったほど大きくなかったという仮説です。
まあ、ここはデータ無いんでなんとも言えないのですが、実際、ユーザーの検索行動として、まずPornhubで検索、無ければXvideosや別サイトを試す、さらにGoogle検索で直リンクを探すといった、全てを網羅的に探すという検索行動は想像に難くありません。
だから、ポイントはBoodigoがユーザーのそういった検索ニーズを活かせなかった、ということだと思います。
本来なら、Boodigoが、PornhubにもXvideosにもないマイナー作品を横断検索できる、複数サイトを一括検索できる、という利便性を提供できれば、一定の需要があったはずです。
しかし、現実には、クロールしているサイトが限定的だったり、コンテンツのクリーニングが甘かったりなどで、ユーザーが求める「代替サイト探索ツール」として成立しなかった可能性が高いでしょう。
この行動パターンを踏まえると、Sae-Pornsでは「大手サイトには無いマイナー作品やローカルアップロード作品」「複数サイト横断検索と日本語化による網羅性強化」を追求することで、単なる水平検索ではなく、「最後の砦」になる検索体験を提供できるはずです。
つまり、Boodigoが市場規模不足で負けたのではなく、「ポータルを横断する真の便利さ」を実現できなかったから不要と判断されたと捉える方が、戦略上は建設的です。
ここらへん、Sae-Pornsではちゃんと手を打っています。
具体的には、
・日本語タイトル化
→ マイナー海外作品でも、日本語検索クエリで引き当て可能にする。
・MythoMaxによる自然翻訳
→ 英語圏サイトの独特なタイトル表現も、AV風の自然な日本語キャッチコピーに変換。
・Sudachi形態素解析によるタグ生成
→ タイトルをただの文字列として扱わず、タグ単位で構造化。類義語展開や関連ワード検索にも対応。
・対象サイトの戦略的絞り込みとインデックス品質管理
→ どこでもクロールするのではなく、ユーザーが実際に視聴可能なサイト、コンテンツが生きているサイトを中心にインデックス。
これにより、Sae-Pornsは「無いものは無い」で終わらない検索体験や「複数サイト横断検索 × 日本語化 × タグ生成」の三位一体で、ただの水平検索エンジンではなく、日本語ユーザーに最適化された「アダルト動画の探索エンジン」 になることを目指しています。
このように、Boodigoの失敗を「市場が無かった」で片付けず、「市場はあるが、必要とされるUXが提供されなかった」と再定義し、そこに技術的・設計的打ち手を入れることが、Sae-Pornsの差別化戦略です。
仮説2:収益化モデルの不在・高コスト構造
Boodigoが失敗した理由としてもう一つ考えられるのが、収益化モデルの不在です。
アダルト検索エンジンというのは、トラフィックは一定数稼げる可能性があっても、成人広告のCPC(クリック単価)やCPM(インプレッション単価)は、一般広告に比べて圧倒的に低い、Google Adsenseなどの一般DSPネットワークは使えない、成人向けアフィリエイトは広告単価自体が安い上に、転換率も安定しない、という現実があります。
つまり、検索エンジンを運営するコスト(クローラー運用、サーバー、開発工数)に対して、広告収益だけではペイしづらい構造なのです。
さらに、Boodigoはポルノ制作会社や元Google社員チームが立ち上げたとはいえ、「広告ネットワークも自前で作る必要がある」「アダルト広告主開拓という別事業」が必要という二重苦を抱えていたことは容易に想像できます。
その結果「トラフィックがあってもマネタイズが追いつかない」「追加投資や拡大フェーズに乗れない」「投資家からの資金調達も難しい(成人領域は嫌忌される)」という典型的な「ニッチ市場 × 収益化不在」の罠に陥った可能性が高いと考えられます。
だからこそ、Sae-Pornsではこの構造的課題に対して、「収益多角化で攻める」というよりも「徹底した低コスト運用で守る」というアプローチを取っています。
具体的には、以下です。
・インフラコスト最適化
→ 大規模クローリングをせず、ターゲットを絞ったURL抽出とメタデータ解析でDBサイズを最小化
・AI翻訳・タグ生成も自前サーバー運用
→ クラウドAPI課金ではなく、自前推論サーバーを活用
・人件費ゼロ運営
→ プログラム自動化により、運用は限りなく無人化
さらに、収益面では、アダルト産業を煽情的で「悪いもの」と捉えるのではなく、「性を含めた自己表現や娯楽を支える文化的コンテンツ」として尊重する姿勢を明確に打ち出すことで、
- 性教育系メディア
- フェムテック商品
- 性に肯定的な心理カウンセリングサービス
といった、共感型スポンサーや広告主との連携を模索しています。
つまり、Boodigoが高コスト構造と「単純な成人広告モデル」で行き詰まったのに対し、Sae-Pornsは「低コスト構造 × 共感型スポンサー開拓」という別ルートで持続可能性を高める戦略を採用しています。
このように、収益多角化が難しいなら「徹底的にコストを下げ、思想に共感する小さなスポンサーで十分黒字化する」という選択肢も、ニッチ市場では合理的です。
仮説3:検索品質・データクレンジング不足
Boodigoがユーザーに支持されなかった理由として、検索結果の品質が低かった可能性は大いにあります。
アダルト検索エンジンにおいては、
・クロール可能サイトが限定的
→ 動画プレイヤーがJS動的生成でHTMLにURLが無い
・リンク切れコンテンツの混入
→ 削除済みや無効なページが検索結果に大量残存
・スパムやリダイレクト広告サイトの混入
→ 詐欺広告サイトやマルウェア配布ページが混在
といった問題が致命傷になりやすいです。
ユーザーは「見つからない」よりも「リンク切れページが大量に出る」「詐欺サイトに飛ばされる」ことに強いストレスを感じ、結果としてサービス自体を信頼しなくなります。
Boodigoは、全体を網羅する水平検索を志向したがゆえに、こうした不要データのクレンジングや品質管理が追いつかなかったのではないでしょうか。
この点を想定し、Sae-Pornsでは以下の対策を採用しています。
・対象サイトを限定する
→ 最初から一定基準を満たす数十サイトに絞ることで、リンク切れ率を最小化
・定期クロールによる死活監視(クレンジング)
→ DBにあるURLが本当に存在するか、再生可能かを周期チェック
・メタデータの正規化と翻訳補正
→ タイトル統一、無意味文字列除去、日本語キャッチコピー生成でDB品質を向上
つまり、Sae-Pornsは水平検索の「量」ではなく、垂直特化型の「質」を重視しています。この戦略により、以下のようなUX提供が可能となります。
- そもそも検索結果にスパムが混入しない
- リンク切れが極小化され、ユーザーの信頼感が高まる
- タイトル日本語化やタグ生成により、Googleや大手ポータルにない検索体験を提供
Boodigoが「量」を求めて品質管理を後回しにしたのに対し、Sae-Pornsは最初からデータクレンジングを中心に据えた設計で、少数精鋭DBでも戦えるUXを目指しています。
仮説4:非追跡型であるがゆえの収益化ジレンマ
Boodigoは、SaePornsと同じくプライバシー保護を重視した検索エンジンでした。
今となっては実体は不明ですが、これは、アダルト検索において「誰にも知られたくない」という強いニーズに応える理想的な思想です。
しかし、その非追跡型設計こそが、収益化モデルとのジレンマを生んだのではないでしょうか。
アダルト広告市場は、もともとCPCやCPMが低く、一般DSPも使えないため収益源が限定されています。
そんな中で、
- リターゲティング不可
- パーソナライズ広告不可
という「プライバシー重視設計」を選択すると、残るのはバナー型クリック課金やサイト広告主契約など、単価の低いモデルのみ。
つまりBoodigoは、ユーザーの匿名性を最大化しつつ、広告収益の効率を最大化するという、ビジネスモデルとしては両立が極めて難しい戦略を取らざるを得なかった。
これは、DuckDuckGoがプライバシー検索+キーワード連動広告(非追跡でも成り立つ規模)で成長できたのとは対照的です。
アダルト検索市場はそもそも規模が小さいため、非追跡型のままでは収益が成り立たなかった可能性があります。
この教訓からSae-Pornsでは、「プライバシー保護は当たり前その上で、運営コストを極小化し、収益規模が小さくても黒字化できる構造にする」という戦略を取っています。
Boodigoが失敗したのは、プライバシーを追求したからではなく、「プライバシーと広告モデルの矛盾を乗り越える運用コスト戦略が無かった」ということかもしれません。
仮説5:思想が弱く、単なるツールになってしまった
Boodigoが失敗した理由として、ビジネス哲学(存在意義)が弱かったことも挙げられるかもしれません。
Boodigoは当時、「アダルト版Google」というキャッチーなポジショニングで登場しました。
しかし、振り返ってみると「アダルト検索を便利にする」 以上の思想が無かった「なぜBoodigoを使うべきか」というストーリーが提示されなかったという印象が否めません。
結果として、
- メディアやユーザーが熱狂するようなビジョンが無い
- ブランドコミュニティが育たない
- 「使わなくても困らないツール」で終わってしまった
という、プロダクトが道具止まりになる典型パターンに陥った可能性があります。
テスラやアップルが単なる車、単なるスマホを売っているわけではないように、ユーザーは「このサービスを使うことが自分の価値観を体現している」と思えるプロダクトにこそ熱狂します。
もしBoodigoが、「性表現を文化として尊重する」「検閲や規制から自由を守るプラットフォームである」といった、強い思想や哲学を掲げることに成功していたら、単なる検索ツールではなく、「Boodigoを使うこと自体が表明になる」ようなサービスになれたかもしれません。
この点、Sae-Pornsでは
- アダルトコンテンツを文化的表現として可視化する
- 翻訳やタグ生成によって「知」として整理する
という思想を明確にし、単なる便利ツールではなく、性表現の尊厳価値を可視化するプラットフォームを目指しています。
Boodigoが道具止まりで終わったからこそ、Sae-Pornsは思想と機能を両立するサービスを作りたいと思っています。
まとめ:Boodigoの教訓から何を学ぶか
ここまで、Boodigoの失敗要因について仮説をいくつか立ててきました。
- 市場が狭すぎた
- 収益化モデルの不在・高コスト構造
- 検索品質・データクレンジング不足
- 非追跡型であるがゆえの収益化ジレンマ
- 思想が弱く、単なるツールになってしまった
正直、Boodigo自体の情報が少なく、実際の運営状況やチーム体制がどうだったのか、広告収益がどれくらいあったのかも外からはわかりません。
なので、今回書いたことはあくまで仮説であり、にょろりんこの推測に過ぎない部分も多いです。
ただ、それでも確実に言えるのは、
- 「検索エンジンを作る」というのは途方もない技術と運用コストがかかる
- 市場規模に対して開発コストが大きすぎると、どうやってもペイしない
というシンプルだけど重い事実です。
そしてSae-Pornsでは、Boodigoの轍を踏まないように「低コスト運用を徹底する」「思想と機能を両立させ、「ただのツール」ではない存在を目指す」という方針で進めています。
Boodigoが失敗したからこそ、今、私たちが学べることはたくさんあります。
いやほんと、情報が少ないので・・・もし当時の運営チームや詳しい関係者のインタビュー記事などがあれば、誰か教えてください(泣)。
それではみなさん、よい開発ライフを。
開発中の「あなたを追跡しないアダルト動画の検索エンジン、SaePorns」はこちら
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