こんにちは、にょろりんこの備忘録技術ブログです。
今日は50回記念として、SaePornsを作る前に作成していた「ドメインパワーが低い方が有利な求人検索エンジン」の作成と挫折の話を書こうと思います。
日本のいびつな求人マーケット
改めて考えると、日本の求人マーケットって歪だと思いませんか?
だって、どこもかしこも求人サイトや転職エージェントのCMばかり。要は、求人広告費をじゃぶじゃぶ使った企業に応募が集まるという構図なんですよね。
本業の事業再生コンサルでも、いつも口をすっぱくして言っているんですが、求人広告費にお金をじゃぶじゃぶ使うのって、相当イケてないです。そのお金は、求人広告費なんかに使うよりも、従業員の給与や、働きやすい職場の整備費用に充てる方が1億倍マシです。

もちろん、求人広告費を使えば応募は増えます。でもね、その人が定着するかどうかは話が別です。人材使い捨て上等!という採用戦略なら、それでもいいでしょう。でも、まともな企業であれば、仕事を通じて従業員が成長し、そのスキルアップが会社の成長にも繋がる、そういう構造を作っていかないといけない。
結局、「従業員のために給与を高くしよう!」「従業員が働きやすい環境に投資しよう!」というホワイト企業は埋もれてしまい、給与を下げて求人広告費に充てる→給与が低いので転職して辞めていく→以下ループ。というブラックスパイラルに陥る企業ばかりになってしまいます。
儲かるのはビ○リーチやリ○クルートだけ。まさに「社長は(求人広告費をじゃぶじゃぶ使って従業員の給与を下げることに)本気だ!」って感じで、本末転倒なんですよね。こういう現状が日本の採用市場にはあるわけです。
だったら、そういうちゃんと従業員のことを考えている会社にスポットライトが当たる。ちゃんと採用できるようにしよう。というコンセプトのもとに作成を進めていたのがドメインパワーが低い方が上位に表示される。あべこべ求人検索サイトなわけです。
キラリと光る中小企業やスタートアップはどうしたって、求人コストをじゃぶじゃぶ使う大企業や、プロダクトにコストを使わず求人費用にばかりコストを使うスタートアップによりも露出が減ってしまいます。
クラウドライターにコストをかけて、札束殴り合いのコンテンツマーケティングしている暇があったら、ユーザーや従業員に本当の価値を届けることにコストをかけるべき。そう考える会社にスポットライトを当てよう。というコンセプトであべこべ求人サイトを作成をしていました。このコンセプト自体は、自分で言うのもなんですが、そんなに悪くないんじゃないかなと思います。
実際にどうやって作ったのか
構造としては、Googleしごと検索がやっているように、各企業サイトや求人ページに埋め込まれたJsonLDのJobPostingデータをクローリングしてインデックス化する仕組みです。
JobPostingというのは、求人情報を構造化して検索エンジンに伝えるためのフォーマットで、ポジション名、会社名、勤務地、給与、仕事内容などがJSONで記述されています。これを読み取ってデータベースに入れ、通常の求人検索エンジンのように表示するわけですが、あべこべ検索サイトではスコアリングが逆でした。
普通の求人検索だと、ドメインパワーが強い順、つまりSEOが強くて広告費をかけているページが上位に来ます。でも私が作ったのは、ドメインパワーが低い順にソートする。
つまり、無名だけど面白い会社、まだSEO施策をしていない中小企業やスタートアップの公式採用ページが、上位に来るようにしたんです。結果として、「Indeedやビズリーチでは見つからないけど、公式採用ページにはしっかり掲載されている求人」が表に出てくる検索エンジンになっていました。
これは面白い!と思いました。
広告宣伝費を使っていないから、イ○ディードやビ○ズリーチでは表示されないけど、ちゃんと公式ページには掲載されている求人がたくさんある。でも、今の日本の求人マーケットでは、そういう求人はほとんど日の目を見ない。
求人広告費をじゃぶじゃぶ使っている企業の求人ばかりが上位に表示される構造。求職者から見える世界が、広告費をかけられる企業だけで埋め尽くされるこの状況は、冷静に考えて相当ヤバいと思うんです。
もちろん求人広告もビジネスだから否定はしません。でも、本当に従業員を大切にしている会社が埋もれてしまうのは、社会的にもったいない。そんな思いから、私はこのあべこべ求人検索サイトで、「広告費をかけなくても、真摯に求人を出している企業がちゃんと見つかる世の中」を作りたいと考えていました。
なぜうまくいかなかったのか
そんな理想を掲げて作った、あべこべ求人検索サイト。でも、現実は甘くありませんでした。
一番の課題は、求人ページを自動で見つけるのが想像以上に難しかったことです。Googleしごと検索のように、JobPostingが埋め込まれたページをフルクローリングできれば理想でした。でも、Googleは世界中のウェブをクロールしてインデックスを作る体制があるからこそ可能なだけで、個人開発レベルでは、どのページに求人情報が埋まっているかを探し当てるだけでも膨大なリソースが必要でした。
また、Indeedや求人ボックスのようなパターンは、求人情報を企業側に投稿してもらう方式が基本なのですが、TVCMをガンガンやっていることからもわかるように、この方式を採用するには、サイトそのものの知名度がとても重要になります。要は札束殴り合いですね。
また、この形式、つまり、「求人コンテンツを媒体側に記入させる」形式は、その求人情報自体がIndeedや求人ボックスの資産になっていくわけで、これはちょっとアンフェアな考え方とも思いました。
企業は応募を集めたくて求人媒体に投稿する。結果として、求人媒体はどんどんデータを貯め込み、プラットフォームとして強大化する。これは、企業とプラットフォームがWIN=WINの関係とは言い難いですね。ここは今回のテーマと違うのであまり細かく書かないのですが、WIN=WINの関係でないと長期的な長続きはしません。
※一方、Googleしごと検索はあくまで検索結果に表示するだけで、求人コンテンツの所有権は企業側に残る。ここが構造的に大きな違いです。キラリと光る中小企業やスタートアップが、良い人材を採用できる、そういう世界をフェアな形で実現するにはグーグル型のクローリング方式が必要ではありました。
でも、私が作ったあべこべ求人検索サイトはGoogleほどのクロール体制も知名度もありません。じゃあどうするかというと、グーグルサーチコンソールのように、企業にインデクシングリクエストを出してもらう必要がある。「うちの求人ページを登録して!」というリクエストを出して!お願いするわけです。
でも、知名度ゼロの検索サイトに、わざわざ求人ページを登録してくれる企業はほとんどありませんでした。
結局、
- 求人ページをフルクローリングできるインフラがない
- 企業からの投稿を集める知名度もない
この二重苦で、サービスとして成り立たないという現実にぶち当たりました。
それでも、この思想には価値がある
結果として、あべこべ求人検索サイトは世の中に出ましたが、すぐに消しました。求人検索エンジンという領域は、GoogleやIndeedのような巨大インフラを持つ企業か、莫大な広告費を投下できる企業じゃないと勝負にならない。それが痛いほどわかりました。
でも、それでも私は、この思想自体には価値があると思っています。求人広告費をじゃぶじゃぶ使って上位表示される求人ではなく、広告に頼らなくても、従業員にちゃんと向き合っている会社にスポットライトを当てる。そういう求人情報検索エンジンがあったら、きっと求職者も企業も、そして社会も、もっと幸せになるはずです。
今はこの思想を別の形で活かしています。
SaePornsも、その一つ。こっちは求人ではなく動画検索だけど、「大手だけが優遇される世界はつまらない」という思いは同じです。
いつかまた、このあべこべ求人検索の思想を活かせる場面があれば、技術とお金と人脈を総動員して、もう一度挑戦してみたいと思っています。
現在作成中のあなたを追跡しないアダルト動画の検索エンジンSaePornsはこちら!よかったら見て行ってください。※18歳未満の方はご利用いただけません。
それではみなさんよい開発ライフを。