こんにちは、にょろりんこの備忘録ブログです。
今日は、最近日本で増えている「外国人労働者の受け入れ」について考えてみたいと思います。
まず最初にお伝えしたいのは、外国人労働者の存在そのものが問題なのではない、ということです。実際、いまや“どこで働くか”は働き手が選ぶ時代。アジアや欧州のさまざまな国では、優秀な人材が日本を含む海外に目を向け、自分のスキルを最大限に活かせる場所を探しています。日本でも、現地の日本人と同等あるいはそれ以上の待遇で活躍している外国人材が増えているのは事実です。
問題は、「安い労働力」として外国人を“都合よく輸入する”ことを前提に経営が設計されている企業の存在です。そのような企業は、従業員に成長機会を提供しようという視点を持っておらず、経営の根本から“人を育てる”という発想が抜け落ちています。
これは、焼き畑農業的な短期利益志向の経営者にとっては“合理的”な戦略かもしれません。安価な労働力を使い捨てながら、目先の利益を確保する──そんな経営手法でも、一時的には会社がまわることもあるでしょう。
しかし、それはあくまで“経営者にとって”の話です。
そのような職場で働かされる従業員にとっては、まったく別の現実が待っています。
なぜなら──このブログ全体のテーマでもありますが──成長できないことは、その人の人生にとって最大のリスクだからです。
日々の業務に追われ、ただ命令に従って作業をこなすだけ。スキルも経験も深まらず、5年後に振り返って「何ができるようになったか」と問われても答えられない。そんな環境に長く身を置いてしまえば、いざというときに選べる未来の選択肢は、確実に狭まっていきます。
だからこそ、「安い労働力を前提にした企業」は、働く人の未来を奪う“静かなリスク”なのです。
安い労働力としての外国人輸入が悪な理由
人材に“安さ”ばかりを求める経営には、重大な問題があります。
それは、企業戦略全体が「人を安く使うこと」に依存する体質になってしまうということです。
もちろん、イノベーションによって生産性を高め、結果として製品やサービスの価格競争力を高めていく──これは健全で持続可能な戦略です。
問題なのは、「優れた仕組みで安くする」のではなく、「人件費を抑えて安くする」ことでしか競争に勝てない構造を固定化してしまうことです。
そうした企業では、技術や仕組みに投資する姿勢が育たず、「現場を安く回す」ことが目的化していきます。その結果、従業員は成長機会を失い、企業も縮小均衡のループに陥っていく。
人に投資しない企業は、やがて組織自体も成長できなくなる──この構造は、決して偶然ではありません。
「成長の提供」こそが、経営と従業員をつなぐ唯一の健全な契約である
ビジネスの世界では、経営と従業員がWin-Winの関係を築くためには、何よりも「成長機会の提供」が必要不可欠です。
経営者は、従業員に挑戦の場を与え、能力を引き出す環境を整える。従業員は、その環境でスキルを磨き、成果を出し、組織に貢献する。その循環があるからこそ、両者にとってリターンが生まれ、組織は持続的に成長していきます。
ところが「安い労働力を使う」ことを前提とした経営では、この関係性は成立しません。成長ではなく“コストカット”を唯一の目的とする現場に、能力開発やキャリア形成の文脈はありません。そこにあるのは「使い捨てられる人材」と「いつでも代替できる労働力」という非対称な構造だけです。
人は、成長実感のある場所でこそ力を発揮します。逆に、何をしても評価されず、ただ黙って安く働かされる環境にいては、やがて能力も意欲も失われてしまう。
だからこそ、従業員に成長の場を提供しない経営には、未来がありません。そして、そんな場に身を置き続けることは、あなた自身の未来を犠牲にする選択でもあるのです。
安い労働力は、イノベーションには勝てない
安価な外国人労働者を使って業務を回す──それは確かに、目先のコスト削減にはつながるかもしれません。しかし、その発想には致命的な限界があります。
歴史を振り返れば明らかです。帝国主義の時代、イギリスはインドの綿産業を徹底的に破壊しました。インドの家庭では「チャルカ」と呼ばれる糸繰り車で布を作っていましたが、それはイギリスの機械化された大量生産の前に駆逐されていきました。
どれだけ安い労働力であっても、機械化＝イノベーションによる生産性向上には太刀打ちできない。労働を安くすれば勝てるという戦略は、結局のところ“持続性がない”のです。
安さに頼る経営は、成長を止めた企業の最後の手段であり、長期的には競争力を失うだけ。むしろ、構造改革や自動化、従業員のスキルアップといった“未来に投資する戦略”こそが、組織を生き残らせる道なのです。
「うちは安くて優秀な外国人を採れている」は、ラッキーパンチに過ぎない
ある経営者は言います。「うちは外国人でも優秀な人材を採れている。コストも抑えられて助かっている」と。確かに、そういう“結果オーライ”のケースも存在するでしょう。
しかし、それは明確な戦略ではなく、単なるラッキーパンチにすぎません。
日本が「豊かで魅力のある国」だった時代ならともかく、いまやグローバルで見ても、日本の賃金水準は相対的に低く、生活コストは高く、言語の壁や文化的ギャップも大きい国です。そんな中で、なぜまだ“優秀で安価な人材”が来てくれるのか──それは、日本が最後に残された「希望のある国」と見なされていた時代の名残にすぎません。
世界中の優秀な若者たちは、自分が活躍できる国を“選べる”時代にいます。日本がその選択肢から外れる日も遠くはない、というかすでに外れています。
今はまだ運良く人材が集まっているのかもしれませんが、それは持続性のない幻想。そこに甘えていては、やがて本当に人材が集まらなくなった時、組織の根本が崩れてしまうでしょう。
成長機会を提供しない組織は、やがて人も競争力も失っていく
安い労働力を使ってとにかく回す──。それは一時的に利益が出る「焼き畑農業」のような経営です。ですが、長く事業を続けるには、従業員に成長の機会を提供する以外に道はありません。
なぜなら、人は成長できる環境でこそ、本気を出します。新しいスキルに挑戦し、より高い成果を目指す。そうした環境は、結果として企業の競争力を押し上げるのです。
一方で、「安く雇って、言われたことだけやってくれればいい」という姿勢の企業には、優秀な人材は定着しません。もし一時的に有能な人材が入ったとしても、それは偶然に過ぎず、継続性のない“ラッキーパンチ”にすぎません。
育成の仕組みがなく、成長を促す文化がない組織では、人も事業も必ず先細っていきます。企業と従業員が本当の意味でWin-Winになるには、従業員の成長を前提に経営を組み立てるしかないのです。
「安い労働力としての外国人輸入」に、3つの理由でNoと言います
ここまで述べてきたように、「外国人＝安い労働力」として輸入する発想には、はっきりとNoを突きつけるべきです。理由は3つあります。
1つ目は、成長機会の欠如。人材を“安く使い潰す”前提の企業には、従業員を育てる意志も仕組みもありません。働く側のキャリアが伸びるはずがないのです。
2つ目は、戦略なき偶然頼み。たまたま“安くて優秀な人材”を確保できているのは、戦略ではなくラッキーパンチ。再現性のない採用に依存した企業は、いずれ立ち行かなくなります。
3つ目は、技術革新への逆行。人手で回すことを前提にしたままでは、機械化・自動化という本質的な生産性向上から企業が遠ざかります。安価な労働力を頼り続ける企業に、未来はありません。
こうした企業に共通しているのは、「従業員に成長を提供しない」という一点です。そしてそれこそが、あなたが退職を検討すべき最大のサインです。
あなたの未来を豊かにするのは、搾取されることではありません。成長し続けられる環境に、今こそ身を置きましょう。
こんなことを考えているコンサルが、自分の会社をつくるために日々ウェブサービスを開発しています。興味があればこちらもぜひのぞいてみてください。
※アダルトサービスです、ご注意ください。18歳未満の方はご利用できません。
