ぽっぺんしゃんにょろりんこ

匿名・非追跡型アダルト動画検索エンジンの設計ノート

アゴダのトラブルに学ぶ、信頼を切り捨てるウェブサービス戦略

こんにちは、にょろりんこの備忘録ビジネスブログです。

いや~、ここ最近、宿泊予約サイトのアゴダが軽く燃えていますね。

曰く、「宿を予約したのに実際には取れていなかった」
曰く、「現地に着いたら、そもそもホテルが存在しなかった」
曰く、「対応が不誠実」…などなど。

真偽のほどは定かではありませんが、SNSでも体験談がちらほら出てきており、実際にトラブルに遭われた方には本当にお気の毒としか言いようがありません。

ただ、今日はここで一歩視点を引いて、「ウェブサービス運営側の視点」「ビジネス戦略的な観点」からこの問題を眺めてみようと思います。

つまり、「アゴダのような大手サービスが、なぜ“信頼を損ねるようなトラブル”を繰り返すようなことをしているのか?」という問いについて、「ユーザー視点」ではなく「ビジネス構造」の観点から考えていきたいと思います。

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そもそもビジネスにはリピーター商法と一見さん商法がある

さて、ビジネスというものは、大きく分けて「リピーター商法」と「一見さん商法」の2つに分類することができます。

リピーター商法は、その名の通り「何度も使ってもらうこと」が前提。

サブスクリプション型のサービスや、日常的に使うアプリ、航空会社、飲食チェーンなどがこれにあたります。顧客との信頼関係をじわじわ積み上げ、使えば使うほど「次も使おう」と思ってもらえるような仕組みが重要です。

一方で、一見さん商法は、「基本的に同じ顧客が戻ってくることは想定されていない」モデル。

観光地の土産物店、格安売り逃げツアー、あるいは短期特化型のWebサービスなどが該当します。ここでは、顧客満足よりも「その場でどう売るか」「次の顧客をどう連れてくるか」がすべて。言ってしまえば、「信頼を築くより、新規顧客を増やす方が早い」という設計です。

ユーザー目線で見れば一見さん商法は憤慨ものですが、ビジネス的には良い悪いという話ではありません。重要なのは「自社がどちらの商法で設計しているのか」という戦略の整合性なのです。

アゴダはどっち?なぜ信頼放置で広告投下なのか?

では、宿泊予約サイト「アゴダ」はどちらの商法で設計されているのでしょうか。

結論から言えば、アゴダは一見さん商法に極めて近い構造を持っていると考えられます。

一見さん商法では、顧客満足度よりも「いかに目立つか」「どれだけ新規流入を増やせるか」が勝負の軸になります。実際、アゴダはテレビCMやウェブ広告、旅行サイトとの連携など、広告戦略にかなりのリソースを割いています。

トラブルが多少あっても、「それを知っている層」より「まだ知らない層」の方が圧倒的に多ければ、広告で上書きしながら回していくことは可能です。信頼を取り戻すには時間もコストもかかりますが、広告は即効性があり、指標にも残りやすい。

言い換えれば、信頼を築くコストより、失った信頼を広告で塗り直す方が「経営的に合理的」だという判断です。

もちろん、この戦略が成立するためには、評判にアクセスできない情報弱者や、多少のリスクを承知で「安さ」を最優先に選ぶ層が、十分にマーケットに存在していることが前提になります。

倫理性や顧客体験の観点からは、こうした設計が好ましいとは言えません。しかし、一見さん商法としては、むしろ「戦略的整合性が取れている」とも言えるのです。

戦略が勝てるかどうかは、外部環境が決める

ここで重要なのは、戦略が成功するかどうかは、倫理性ではなく、「内部の一貫性」と「外部環境との整合性」によって決まるという点です。

たとえば、このブログでもたびたび批判している「人材使い捨て戦略」。

これは倫理的には到底支持できるものではありませんが、ベビーブーム期や就職氷河期のように、労働力が潤沢だった時代には、戦略としては一貫性があり、成立してしまっていたのです。

※内部的に人材を使い捨てても、外部から次々に供給される構造。

要するに、「使い捨てても、また次が来る」という外部環境があったからこそ、非人道的でも「成立してしまった」戦略だったと言えるわけです。

逆に言えば、どれだけ倫理的に立派な戦略であっても、外部環境にフィットしていなければ市場では勝てない──そんな現実も、私たちは忘れてはなりません。

アゴダはマーケットを情報弱者と考えている

では、なぜアゴダは繰り返される炎上を積極的に止めようとせず、改善よりも広告投下にリソースを振り分けるのでしょうか。

その理由はシンプルで、アゴダが「評判にアクセスしにくい層」、つまり「情報弱者」を自社の顧客ターゲットとしているからです。そう考えれば、つじつまが合いますね。

たとえば、TVCMで見た情報をそのまま鵜呑みにする人など。SNSで話題になっている「地雷報告」や口コミの精査にまでたどり着かない層は、一定数確実に存在します。

アゴダにとって重要なのは、「失望して離脱する既存ユーザー」や「事前に情報をよく吟味するユーザー」ではなく、「新しく流入してくる層をどれだけ広告で刈り取れるか」という点なのです。

※もしアゴダがリピーター商法を志向しているにもかかわらずユーザー体験を軽視しているなら、それは戦略として支離滅裂。流石にそれは考えにくいでしょう。

だからこそ、トラブルが表面化しても、再発防止策や信頼回復に大きな投資をせず、「広告と価格訴求(絶対値)」だけで回し続ける戦略が「成立してしまっている」のです。

言い換えれば、マーケットを「情報弱者」として見ており、その格差を前提とした戦略整合性でビジネスを動かしているわけです。

倫理的には強い疑問が残るものの、マーケティング的には、これはある種の「合理性」を持っている──それが、現状のアゴダ型、つまり情報弱者搾取ビジネスの構造です。

では、私たちユーザーはどうすればいいのか?

ここまで見てきたように、ユーザーを「情報弱者」として扱うビジネス戦略は、倫理的な問題はあるものの、構造的には成立してしまうというのが現実です。

だからこそ、この手のサービスは簡単にはなくなりません。

少々の炎上や悪評があっても、それ以上に「知らずに利用する人」がいれば、広告投下と価格訴求だけでビジネスは回ってしまうのです。

もちろん、これは「サービスにミスがあってはならない」と言っているわけではありません。

むしろ今の時代、完璧を求めて動けなくなるよりも、まず世に出して、走りながら改善していく、いわゆる Done is better than perfect の発想は、プロダクト開発においてはむしろ王道です。

多少のバグや不備、手の回らない部分があるのは当たり前。問題は、それが発生したときに企業がどのような姿勢で向き合うか、です。

「ミスを真摯に受け止め、改善しようとしている」のか?それとも「損なったユーザー体験は広告で穴埋めできる」と判断しているのか?

ミス自体は許容され得るものです。しかし、その後の対応こそが、「その企業の戦略スタンス」をもっともよく表すポイントだと私は思います。

だからこそ、私たちユーザーが意識すべきなのは、サービスの出来不出来そのものではなく、「その会社がどちらの姿勢で動いているのか?」を見極めることです。

短期の利益だけを狙ってユーザー体験を切り捨てるタイプなのか、それとも、長期的な信頼を重視しているのか、もちろん、企業の本音は外からは見えにくいものです。

でも、ミスへの向き合い方、繰り返されるトラブルへの姿勢、改善のスピードや透明性──そうした断片に、その企業の“本気度”は滲み出るものです。

私たちは、たまたま安かったからといって、自分の時間や安心を軽んじる設計のサービスに、人生の一部を委ねる必要はありません。

目の前の安さだけでなく、その裏にある戦略構造にも少しだけ意識を向けてみる。それだけで、不要なトラブルの多くは回避できるはずです。

ちなみに、私自身が開発しているサービス「Sae-Porns」も、いわゆるユーザーとの信頼型のサービスです。

個人開発ゆえに限界はありますが、トラブルがあった場合にはなるべく早く対応し、状況を共有するようにしています。
ブログの更新が止まっているときは、たいてい何か重篤な障害に対応している真っ最中です。修正報告や運営のお知らせは、できる限りX(旧Twitter)で発信しています。

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sae-porns.org